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解雇の制限

民法において規定されている雇用契約(労働契約)は当事者の交渉力や社会的地位が対等であることを前提としており、期間の定めの無い雇用契約(これは一般的な雇用契約の形である)は当事者のどちらからでも一方的に解約を申し入れることができる。しかし現代社会においては使用者の方が労働者よりも強い立場にあるのが通常であるから、労働基準法などの労働法や判例法理によって全面的に修正されている。

まず解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となる。

さらに、使用者は次の期間においては労働者を解雇してはならない。ただし、業務上の傷病により使用者から補償を受ける労働者が、療養を開始して3年を経過してもその傷病が治らない場合、平均賃金の1200日分の打切補償(労働基準法第81条)を支払えば解雇は出来る。 天災事変その他やむを得ない理由がある場合には、次の期間においても労働基準監督署長の認可を得た上で解雇することができる。

さらに使用者は、労働者が労働基準法違反の事実を労働基準監督署に申告した場合(労働基準法)、労働組合として正当な行為を行なった場合(労働組合法)、はそれを理由に解雇してはならない。

また、使用者ごとに定める就業規則(労働基準法89条以下)には解雇の原因となる行為、すなわち普通解雇事由が定められているのが普通である。通常、これに違反すれば解雇されることになる。しかし裁判所は、たとえ労働者に就業規則違反などの落ち度があった場合であっても具体的な事情から考えて「解雇権の濫用」であるといえるならばその解雇は無効であるとして、使用者による解雇権の行使を制限してきた。これが解雇権濫用の法理と呼ばれるものである。つまり、紛争になっている解雇について具体的事情にてらして考えると、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができないという場合には解雇権の濫用として解雇の意思表示は無効になる。この法理は、その後の改正によって労働基準法18条の2に明記されることとなった。さらに労働契約法16条に移行。就業規則には解雇の事由を列挙しなければならないが、就業規則には「その他前各号に準ずるやむを得ない事情があったとき」というような規定が設けられていることが多く、解雇制限としては不十分だからである。